しばらくは自分の記録を書くことにします。

 親友はいわゆるマッチングアプリで彼女を作ったそうだ。結婚も視野に入れて、付き合いを始めたらしい。「お前もやってみな」という一言で、酔った勢いもあって同じものをインストールした。純粋な彼のいうことには抗えない。

 そのアプリは男性は課金をするとメッセージのやりとりができる。女性は無課金で大体のことできる。その落差によって女性の登録者を集めている。次の日の朝にアプリのことを思い出してもうすでに課金も済んでしまっていたので、良いキッカケだと思い乗っかって見ることにした。

 画面をスワイプすると、お店の女の子を選んでいる時と同じ感覚があった。違うのはお店にはその先に、金銭を介在した性的な行為があること。こちらには、金銭を介在しない、今流行りの結婚があるということ。対極の目的なのに、構造が似ている。品定めをするのも一緒。本質は変わらないということなのだろうか。

 私の職業と年収を正直に入力した。見本というものがあって、それに沿ったプロフィールも作ってみた。コツコツとアプリの誘導に従って、イイね!を押して、マッチングをしてメッセージのやり取りをした。

 たったの一ヶ月だったけど、そのアプリにまつわる出来事がいくつもあった。個人情報を何が何でも隠す女、一瞬だけ写真の顔になる女、純粋な女。結局一ヶ月がたって、4000円という金額の割にはいろいろなことが体験できた。最後の「純粋な女」だけが懸案事項として残っている。一度会って一緒にご飯を食べて、次は飲む約束をした。お互いに嫌な思いもない、次に繋がりそうな雰囲気があった。

 

ただし、自分には脳みその病気がある。

 

 私の脳みそは、夜寝ることを20歳の時から拒否していて、薬がないと太陽が上がるまで眠ることができない。25歳まで、ずっと導入剤を飲む毎日だ。

 そのことを負い目に感じることもあったけど、生きるためには仕事をするためには必要なことなので諦めて処方されるものを毎日飲み続けた。脳みそが普通ではないことを半分受け入れた。

 

 25歳になって、同僚から酷い裏切り行為を受けた。正確には私が過剰に人を信じて期待していたのが大きな原因だったが、感情が壊れてしまった。「感情のコントロールができない」のではなく「壊れてしまって元に戻せない」状態になってしまった。その時から、脳みその病気は寝ることの拒否の他にいろいろな拒否を開始した。一日に飲まなくてはいけない薬の種類がかなり増えた。

 

「もう仕事は辞めた方がいい。好きな病名を書いてあげるから辞めなさい」

 

その言葉は医者として、私に対して仕事をやめるように促す言葉だったが、結果として職場に戻ろうという思いを持たせた。この人に言えばいつでも診断書を書いてくれる。やめようと思えば、いつでも辞められる。その時の私には救いの言葉になった。

 

 私は職場に戻り、仕事を全うすることにした。危機的な状況になると、薬の種類が増えた。一度増えた薬は減らない。他人から見れば薬漬けの状態だ。「今の職場に任期が終わるまでは続けよう」という言葉を心の隅に置いて、頑張ることを続けた。

 

 忙しさにかまけていたら、次の職場に来てしまった。問題は何も解決していない。

 

仕事をしたくないから、ここに書いて逃げている。そろそろ始めないと間に合わないから、仕事をする。

 

読む価値のある、面白いものがまだ書けないので、しばらくは自分の記録を書くことにします。